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中小企業経営強化税制のQ&Aが公表されました〜気になるQ&Aをピックアップ〜

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中小企業庁のHPで、中小企業経営強化税制と固定資産税特例のQ&Aが公表されました。

今回はその中から、気になるQ&Aをピックアップして解説します。

 

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A類型・B類型共通項目

共-2  本税制の対象となる生産等設備とはどのような設備を指すのか

生産活動,販売活動,役務提供活動その他収益を獲得するために行う活動の用に直接供される減価償却資産が対象で、本店,寄宿舎等の建物,事務用器具備品,福利厚生施設等は対象外となります。

一棟の建物が本店用と店舗用に供されている場合など,減価償却資産の一部が事業者の生産等活動の用に直接供されているものについては,その全てが生産等設備となります。

 

共-7  取得価額の判定は消費税抜きでするのか、それとも税込みか

その事業者の消費税の経理方式により取得価額の判定は変わります。税抜経理をしていれば税抜で、税込経理をしていれば税込で、免税事業者なら税込で判定することになります。

税抜経理の方が納税者有利といわれるのは、こういうところにも起因しますね。

 

共-8  単品の取得価額は、どのように判定するのか

対象設備となる本体と同時に取得する、自動調整装置又は原動機のような附属機器でその本体と一体になって使用するものがある場合は、これらの附属機器を含めたところで取得価額の判定を行います。

 

共-11 購入ではなくリースの場合も、税制措置の対象となるのか

所有権移転リース取引や所有権移転外リース取引(税額控除のみ)などのファイナンス・リース取引は、中小企業経営強化税制の対象となりますが、いわゆるレンタルのようなオペレーティングリーズ取引は対象になりません。

 

共-13  補助金を受けた設備であり、かつ圧縮記帳前は最低取得価額を上回っているが、圧縮記帳後は最低取得価額を下回ってしまう場合、本税制措置は使えるのか

中小企業経営強化税制では、圧縮記帳の適用を受けて取得した場合、取得価額の判定は圧縮記帳後の金額で行います。

一方、固定資産税特例の場合、圧縮記帳前の金額で取得価額の判定を行います。

 

共-18  中小企業経営強化税制の税額控除限度額について、他の税制の適用を受けている場合にはどのように計算すれば良いか

他の税制の適用を受ける場合,中小企業経営強化税制における税額控除限度額は,その他の税制を適用する前の法人税額の20%が限度です。

なお,中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制と商業・サービス業・農林水産業活性化税制を利用する場合,3つの措置の税額控除の合計で限度額を計算することになります。

 

共-19  中小企業経営強化税制について、同一企業が設備単位で即時償却と税額控除を使い分けることができるのか

設備単位で、即時償却と税額控除を使い分けることができます。

 

共-22  売電のみを目的とした太陽光発電設備の導入は対象になるのか

全量売電の場合、電気業に該当しますが、電気業は指定事業ではありませんので、中小企業経営強化税制の適用はありません。
ただし、自家消費や余剰売電を行う場合は、個別の利用状況に応じて適用になる場合があります。

なお、固定資産税特例につきましては、全量売電でも対象になります。

 

 

A類型

A-1  A社の製品をB社がカスタマイズしてユーザーに納品した場合、証明書の発行申請は誰が行うのか

カスタマイズしたB社が証明書の発行申請を行い、比較対象はのモデルはA社の旧モデルになります。

 

A-3  輸入した設備(海外メーカー製)の扱いはどのように考えればよいか

要件を満たす判断材料があれば、輸入した設備も対象になります。
その場合は,海外メーカー名で代理店等が申請者となることも可能ですが、設備に関して正確な申請が可能と工業会が判断できる場合に限ります。

 

A-4  (メーカーが新事業を開始した場合など)比較すべき旧モデルが全くない新製品は対象となるのか

比較対象が全くないものは、比較する指標がないため販売開始時期のみが要件となります。
しかし、新製品であれば必ず申請書が発行されるわけではなく、類似する機能・性能を持つ設備があるものは,生産性向上要件について比較が必要です。

 

A-10  販売開始年度等の「年度」とは、いつからいつまでを指すのか

4月1日から3月31日までではなく、1月1日から12月31日までを指します。

 

A-12  同じ設備について違う取得時期で導入する場合には、証明書も複数枚必要となるのか

同一年内における設備の取得であれば、一枚の証明書で対応可能ですが、同一事業年度内の取得でも取得年が違う場合は、それぞれ証明書が必要です(販売開始年の判定となる取得年が異なるため)。

 

A-15  一枚の工業会証明書で中小企業経営強化税制も固定資産税の特例も利用可能か

可能です。

 

 

B類型

B-4  会計監査人や顧問税理士であっても事前確認業務を行うことは可能か

可能です。社内に有資格者がいる場合も、その者が事前確認を行うことができます。

 

B-5  本社所在地が東京で、実際に設備投資をする工場が北海道である場合、どの経済産業局に申請すれば良いのか

本店所在地を管轄する経済産業局へ申請します。

 

B-7  登記簿謄本はコピーでも良いか。また、発行期限(何ヶ月以内)はあるのか

コピーでも可で、最新の状態であれば、発行期限も問われません。

 

B-11  収益力強化設備の投資において、税制措置の対象外となっている設備(車輌・建物や,160万円未満の機械装置等)を同時に導入する場合、その金額も分母に加えるのか

投資利益率を計算する場合の分母の設備投資額には、中小企業経営強化税制の対象外の設備の取得価額も含めて、投資利益率を計算します。

 

B-15  補助金を受けて圧縮記帳をする設備の場合、圧縮記帳後の金額が取得価額となるが、投資利益率の算出に当たり、分母に入れる金額は圧縮記帳後の金額でよいか

取得価額要件の判定の際は、圧縮記帳後の取得価額で判定しましたが、投資利益率の計算をする場合における分母の設備投資額は、圧縮記帳前の金額で計算します。

 

B-19  B類型の確認で固定資産税の特例も受けられるのか

固定資産税特例の適用を受ける場合は、別途、工業会等の証明書が必要です。

 

 

固定資産税特例

固−1 補助金を受けた設備の取得価格をおしえてください

固定資産税は圧縮記帳の適用がないので、補助金を差し引く前の金額が取得価額となります。
なので、取得価額の判定も補助金を差し引く前の金額で判定します。

 

固−2 所有権移転外リース取引で設備を導入した場合、固定資産税はリース会社が納付するが、リース契約に含ま れている固定資産税額は減額されるのか

事業者が支払うリース料に含まれる固定資産税相当額は軽減されますので、手続きはリース会社に相談してみましょう。

 

固−3 リース契約金額の固定資産税相当額が適切に減額されているかは何でわかるのか

リース会社が「固定資産税軽減計画書」を作成し、事業者に確認を求めます。

 

固−5 リース取引の時の取得価額の判定は消費税抜きでするのか

消費税抜きの金額で取得価額を判定し、事業者の経理方式は問われません。

 

固−9 認定計画の期間中に資本金が変動し、中小法人に該当しないこととなった場合、軽減措置の扱いはどうなるのか

1月1日おける資本金の額で判定しますので、その年1月1日おける資本金の額が1億円以下であれば、固定資産税特例の適用を受けられます。

 

固−12 本店所在地と投資地域が異なる場合、地域の限定はどのようになるのか

設備の所在地で判定します。

 

固−14 器具備品について、対象地域から対象外地域に移転した場合

1月1日における所在地で判定しますので、1月1日おいて対象外地域に移転している場合は、その年から固定資産税特例の適用はありません。

 

固−16 建物附属設備は全て対象となるのか

償却資産税として課税されるものに限られ、家屋として評価されるものを除きます。

 

まとめ

今回のQ&Aの公表によって、実務上でどうなるんだろうと感じていた疑問点が解消されてきました。

今後もQ&Aが追加・変更される可能性がありますので、随時、中小企業庁のHP をチェックをしておきましょう。

Q&A集(中小企業経営強化税制、固定資産税特例)

 

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