税務つーしん

平成30年度税制改正大綱のかんたんまとめ〜法人課税〜

投稿日:2018年1月12日 更新日:

平成29年12月14日に平成30年度税制改正大綱が閣議決定されました。

今回は、法人課税の中でも主に中小法人に関係のあるものを中心にまとめてみました。

 

所得拡大促進税制

所得拡大促進税制が現行よりもさらに税額控除額がアップし、適用要件が見直されます。

この改正は平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度において適用されます。

大法人(資本金1億円超の法人)

適用要件

適用要件に従業員の給与だけでなく、設備投資や教育訓練費の項目が追加されています。

  1. 平均給与等支給額の増加割合が3%以上増加
    …(当期の平均給与等支給額 ー 前期の平均給与等支給額)/ 前期の平均給与等支給額 ≧ 3%
  2. 国内設備投資額 ≧ 減価償却費の総額 × 90%
  3. 教育訓練費増加割合 ≧ 20%
    …(当期の教育訓練費額 ー 前期と前々期の教育訓練費の平均額)/ 前期と前々期の教育訓練費の平均額 ≧ 20%

税額控除額

  • 要件1だけを満たす場合・・・給与等支給増加額の15%を税額控除(法人税額の20%を限度)
  • 要件1・2・3を満たす場合・・・給与等支給増加額の20%を税額控除(法人税額の20%を限度)

注意すべき点は、現行の雇用者給与等支給増加額の15%または20%ではなく、雇用者給与等支給額の前期からの増加額(給与等支給増加額)の15%または20%が控除税額である点です。

これで基準事業年度の雇用者給与等支給額を使うことはなくなりそうです。

 

中小法人(資本金1億円以下の法人)

中小法人の適用要件は大法人よりも緩くなっています。

適用要件

  1. 平均給与等支給額の増加割合が1.5%以上増加
    …(当期の平均給与等支給額 ー 前期の平均給与等支給額)/ 前期の平均給与等支給額 ≧ 1.5%
  2. 平均給与等支給額の増加割合が2.5%以上増加
    …(当期の平均給与等支給額 ー 前期の平均給与等支給額)/ 前期の平均給与等支給額 ≧ 2.5%
  3. 教育訓練費増加割合 ≧ 10%
    …(当期の教育訓練費額 ー 前期の教育訓練費額)/ 前期の教育訓練費額10%
    または
    中小企業経営強化法の経営力向上計画に従って経営力向上が確実におこなわれたと証明されること

税額控除額

  • 要件1だけを満たす場合・・・給与等支給増加額の15%を税額控除(法人税額の20%を限度)
  • 要件1・2・3を満たす場合・・・給与等支給増加額の25%を税額控除(法人税額の20%を限度)

雇用者給与等支給増加額ではなく、雇用者給与等支給額の前期からの増加額(給与等支給増加額)が控除税額の計算基準となっている点は大法人と同じです。

 

継続雇用者の範囲の見直し

平均給与等支給額の計算の対象となる継続雇用者の範囲が見直されます。

  • 改正前・・・当期と前期に給与の支給を受けた国内雇用者
  • 改正後・・・当期と前期の全期間において給与の支給を受けた国内雇用者(中途入社と退職者は含まれない)

継続雇用者の判定が現行よりもしやすくなりますね。

なお、対象となる雇用者は、雇用保険の一般被保険者に該当する要件を満たす者で継続雇用制度対象者が含まれない点は現行と同様です。

 

設立事業年度は対象外

現行では中小法人のみ適用があった設立事業年度について、所得拡大促進税制の適用はないこととされます。

 

中小企業の固定資産税特例

「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の制定により、市町村の導入促進基本計画(仮称)に適合し、かつ、労働生産性を3%向上させるものとして認定を受けた中小企業者等の先端設備等導入計画(仮称)に記載された一定の機械・装置等について、固定資産税が0から1/2まで軽減されることになります。

この特例は、生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の施行日から平成33年3月31日までに間に取得した一定の機械・装置等が対象になります。

ここでいう一定の機械・装置等とは、旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上するもので、次の資産が対象です。

  • 機械装置(取得価額160万円以上、販売開始10年以内)
  • 測定工具及び検査工具(取得価額30万円以上、販売開始5年以内)
  • 器具備品(取得価額30万円以上、販売開始6年以内)
  • 建物附属設備(取得価額60万円以上、販売開始14年以内)
    …家屋と一体になって効用を果たすものを除く

この特例の創設に伴い、中小企業経営強化法による固定資産税の減免制度が適用期限をもって廃止されます。

 

収益の認識基準

収益の認識すべき金額及び時期を法令上明確化

収益を益金の額として認識すべき金額は「その販売もしくは譲渡をした資産の引渡し時の価額、またはその提供をした役務の提供につき通常得べき対価の額に相当する金額」ということが法令上明確化になります。

そして収益の認識時期は「原則として目的物の引渡しの日または役務の提供の日の属する事業年度」ということも法令上明確化されます。

これは、これまでも同じ認識基準でしたが基本通達に定められていました。

これが法人税法の本法に規定されるようです。

新しいところでは、「値引きや割戻しについて客観的に見積もることができる金額を収益の額から控除することができる」という点が追加されています。

 

返品調整引当金が廃止

返品調整引当金制度が廃止されます。

平成33年3月31日までに開始する事業年度については現行どおりの損金算入が認められ、平成33年4月1日以降に開始する事業年度から原則として損金算入されませんが、毎年1/10ずつ引当額が縮小される経過措置が講じられます。

 

長期割賦販売等にかかる延払い基準の廃止

長期割賦販売をした場合の延払い基準による収益及び費用の計上が廃止されます。

これについても経過措置があり、平成30年4月1日前におこなわれた長期割賦販売等については平成35年3月31日開始事業年度まで延払い基準の適用が認められます。

また、平成30年4月1日以後に延払い基準の適用をやめた場合の繰延割賦利益額の計上が10年均等で収益計上することが認められます。

 

その他

大法人の電子申告義務化

大法人については、平成32年4月1日以後開始事業年度からは電子申告が義務化され、やむをえない事情がある場合を除き、書面で申告書を提出しても無申告扱いになります。

ただし、申告書の主要な部分が電子申告されていれば、添付書類は紙ベースで提出してもいいようで、この主要な部分は今後明確化されます。

 

法人税の自署押印制度が廃止

すでに形骸化していましたが、法人税の申告書の代表者及び経理責任者の氏名と押印が廃止されます。

 

財務諸表、勘定科目内訳明細書や別表をCSVデータで提出可能に

財務諸表、勘定科目内訳明細書や一部別表(明細記載を要する部分に限定)がCSV形式のデータでの提出が可能になります。

また、勘定科目内訳明細書の記載内容が簡略化されるとのことです。

 

まとめ

平成30年度の中小法人関係の税制改正大綱について見てきました。

全体的に大幅な改正はないものの、所得拡大促進税制がまた改正されたり、賃上げと設備投資を促進するような改正項目が目立つ内容ですね。

 

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