平成29年7月1日以後、ビットコインなどの仮想通貨の売買にかかる消費税は非課税取引とされました。
それ以前の売買については課税取引とされていたため、経過措置として、平成29年6月30日に保有している仮想通貨について一定の要件に該当する場合には、消費税の仕入税額控除について調整計算をする必要があります。
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経過措置とは
消費税の取扱いが変わる平成29年6月30日までに仮想通貨を購入すれば消費税の仕入税額控除ができるということで、消費税の還付を目的として大量に仮想通貨が購入されることによる市場の混乱を防止するなどの理由から、次の要件に該当する場合には、仕入税額控除に一定の制限が設けられています。
- 平成29年6月30日において税抜100万円以上の仮想通貨を保有していること(仮想通貨の種類ごとではなくすべての合計額)
- 平成29年6月中の1日あたりの平均保有数量に比べて平成29年6月30日時点の保有数量が増加していること
具体的計算
平均保有数量
平均保有数量とは、平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の一日あたりの平均保有数量のことをいいます。
例)6/1〜6/10まで500を保有していて、6/11に追加で300購入して、6/30現在で800保有している場合
{500 × 10日間 +(500 + 300)× 20日間}÷ 30日 = 700 →平均保有数量
平成29年6月30日現在で保有している仮想通貨の数量が、この平均保有数量を超える場合には、次の仕入税額控除の調整計算が必要になります。
仕入税額控除の調整金額
仮想通貨の種類ごとに次の算式により計算して、最後に合算した金額が仕入税額控除の調整金額となります。
(6/30現在の保有数量 ー 6月の平均保有数量)× 種類別単価(税込) × 8/108
ここで問題になってくるのが、種類別単価の計算です。
条文では具体的な計算方法は明示されてはおらず、【合理的な方法により算出した価額を種類別単価とみなして計算する】とだけあります。
なので、仮想通貨の種類ごとに総平均法や移動平均法により計算した種類別単価でも問題ないかと考えられます。
なお、平成29年6月30日において税抜100万円以上の仮想通貨を保有しているかの判定も、この合理的な方法により算出した種類別単価をベースに計算した価額で判定します。
まとめ
今回の経過措置は、平成29年6月30日に大量購入していなければ該当しないのではなく、平成29年6月中に大量取得した場合でも適用の可能性があります。
例えば、6/1までまったく仮想通貨を保有していなくて、6/2に900の仮想通貨を購入し、そのまま6/30まで保有していた場合でも、平均保有数量が900×29日÷30日=870になり、6/30の保有量の900に満たないわけですから、仕入税額控除の制限が適用されます。
平成29年の6月に仮想通貨を購入された場合は、経過措置の適用があるかどうかの確認をしておきましょう。