ビットコインなどの仮想通貨を譲渡した場合、これまでは消費税の課税対象となっていましたが、平成29年度税制改正により、平成29年7月1日以後の譲渡については、消費税が非課税になります。
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仮想通貨の消費税改正の経緯
ビットコインに代表される仮想通貨は、これまで法律的に定義されていなかったため、消費税の課税対象とされてきました。
したがって、仮想通貨を譲渡した場合は課税売上に該当し、仮想通貨を購入した場合は課税仕入れに該当して仕入税額控除の対象となっていました。
ところが、平成28年6月に公布された資金決済に関する法律により、仮想通貨も貨幣や紙幣と同様に、支払手段として法律的に定められたため、消費税法においても、平成29年7月1日以後については、有価証券に類するものの範囲に含まれることになり、仮想通貨を売買した場合でも非課税とされます。
消費税法施行令 第9条 有価証券に類するものの範囲等
1〜3省略
4 法別表第1第2号に規定する支払手段に類するものとして政令で定めるものは、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)第2条第5項(定義)に規定する仮想通貨及び国際通貨基金協定第15条に規定する特別引出権とする。
平成29年7月1日以後の仮想通貨にかかる消費税の取扱い
原則
仮想通貨を譲渡した場合は、有価証券などと同様に非課税売上に該当します。
一方、仮想通貨を購入した場合は、非課税仕入になり消費税の納税額の計算においては何の影響もないことになります。
経過措置
平成29年6月30日までに仮想通貨を購入すれば消費税の課税仕入れに該当し、その課税仕入れとなった仮想通貨を平成29年7月1日以後に譲渡すれば非課税売上になります。
しかも、個別対応方式により仕入税額控除額を計算している場合には、課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに該当します。
つまり、買ったときに支払った消費税は消費税の申告の際に差し引くことができ、売ったときには消費税がかからないので消費税の申告の際に納めなくてもよいことになります。
極端な話、6月30日に税込1,080万円で仮想通貨を購入し、7月1日に同額の1,080万円で売却したという取引しかない場合は、購入したときの消費税80万円がそのまま還付されることになります。
こういうこと防止するためなのか、平成29年6月30日時点で税抜100万円以上の仮想通貨を保有する場合には、次のような経過措置が設けられています。
- 平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の一日あたりの平均保有数量<平成29年6月30日の保有数量の場合
…平均保有量より多い部分の消費税については仕入税額控除できない - 平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の一日あたりの平均保有数量>平成29年6月30日の保有数量の場合
…6月30日までに購入した仮想通貨についてはすべて仕入税額控除できる
なお、平均保有数量の計算は次のようにします。
例)6/1〜6/10まで500を保有していて、6/11に追加で300購入して、6/30現在で800保有している場合
{500 × 10日間 +(500 + 300)× 20日間}÷ 30日= 700 →平均保有数量
課税売上割合の計算
仮想通貨を譲渡した場合には非課税売上高になりますが、仮想通貨については紙幣等と同様に支払手段とされましたので、この非課税売上高は課税売上割合の計算上は分母の額に含まれません。
まとめ
仮想通貨というと、インターネット上の取引で使うようなイメージがありますが、実店舗でも使えるところが増えてきています。
先日も、ビックカメラが一部の店舗でビットコインによる決済を始めたというニュースもあり、以前よりも身近な存在になってきているのではないでしょうか。
それゆえに、今後は事業の取引上も仮想通貨が出てくることもありますので、消費税の取扱いに注意しておきましょう。