決算書の読み方講座

【基礎から学べる決算書の読み方講座】7時間目〜安全性の分析で会社の安全度を見よう〜

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決算書を読めるようになりたい方に向けて、決算書の読み方を基礎から解説している「基礎から学べる決算書の読み方講座」。

今回は財務諸表から読み解く安全性の分析について解説します。

 

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安全性とは?

会社における安全性とは何でしょうか?

会社はお金がなくなると、借入金の返済取引先への支払い従業員への給料の支給ができなくなり、倒産してしまいます。

つまり、会社が安全かどうかはお金=キャッシュが回っているかどうかです。

会社にとってキャッシュは血液のようなもので、これがなくなってしまうと死んでしまうのです。

安全性の有無は、利益が多い少ないだけではわからないので損益計算書ではなく、財務状態を表す貸借対照表で見る必要があります。

そして、安全性の分析では、このキャッシュが回っているかどうかをさまざまな指標を使って見ていくことになります。

 

自己資本比率

会社は返済をしないといけない借入金が多くあると、返済に行き詰まったときに苦しくなります。

逆に返済の必要がない自己資本(純資産)が多いと、返済の必要がないので資金的にはラクになります。

この返済しなくていい自己資本が資産に対してのどれだけの割合があるかを見るのが自己資本比率です。

自己資本比率(%)= 自己資本(純資産)/ 総資産 × 100

 

業種によっても異なりますが、一般的には30%以上が望ましく、50%以上あれば優良です。

逆に10%未満ですと危険といえます。

 

ただし、借入金=悪ではありません。

事業を営む上で、借入れをすることは必要で、これがなければ事業を大きくするのに時間がかかってしまいますので、借入金とは上手く付き合っていく必要があります。

 

流動比率

流動比率とは、短期的な債務の支払い能力があるかどうかを確認する指標です。

流動比率(%)= 流動資産 / 流動負債 × 100

これは、買掛金、未払金、短期借入金などの返済期限が1年以内の流動負債を返済するために必要な現預金や現預金に換金しやすい流動資産がどれくらいあるかを表しています。

 

流動比率は200%以上あればいうことなしですが、150%以上あれば安全120%以上でまずまず100%未満で危険となります。

 

当座比率

流動比率をもっと厳しく見るのが当座比率です。

当座比率(%)= 当座資産(現預金・受取手形・売掛金・有価証券) / 流動負債 × 100

当座資産とはカンタンにいうと流動資産から現金化に時間のかかる棚卸資産の除いたもので、より即座に現金化しやすいものです。

流動比率では過剰在庫がある場合でも数字はよくなりますが、当座比率では過剰在庫がある場合には悪くなります。

当座比率は一般的には100%以上あれば望ましいといえます。

 

固定比率

流動資産とは対照的に、中長期的な安全性を見る指標が固定比率です。

固定比率(%)= 固定資産 / 自己資本(純資産) × 100

固定比率は、収益を生み出すための設備投資である固定資産を自己資本でどれだけ調達できているかを表しています。

 

固定比率は一般的に100%以下が望ましいとされますが、借入れをして設備投資をすることも珍しくはないので、100%超になったからといって即危険というわけではありません。

 

この固定比率を少し緩和したのが次の固定長期適合率です。

 

固定長期適合率

固定長期適合率は、固定比率の算式の分母に固定負債を含めて計算します。

固定長期適合率(%)= 固定資産 / (自己資本(純資産)+ 固定負債)× 100

固定長期適合率は、収益を生み出すための設備投資である固定資産を自己資本と長期借入金などの固定負債で調達できているかを表しています。

 

固定長期適合率が100%を超えてしまうと、設備投資に返済期限が近い流動負債も使って調達していることになりますので危険といえます。

 

まとめ

  • 安全性の分析とは、お金(キャッシュ)が順調に回っているかどうかを見るもの
  • 自己資本比率とは、返済しなくていい自己資本が資産に対してのどれだけの割合があるのかを見る指標
  • 流動比率とは、短期的な債務の支払い能力があるかどうかを確認する指標
  • 当座比率は流動比率の計算から現金化に時間のかかる棚卸資産を除いているので、流動比率よりもより厳しい
  • 固定比率とは、収益を生み出すための設備投資である固定資産を自己資本でどれだけ調達できているかをみる指標
  • 固定長期適合率とは、固定資産を自己資本と長期借入金などの固定負債で調達できているかを見る指標

 

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